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202109/22
話し方のコツ「命ある言葉を増やしていけるように」

私たちは自然と言葉を獲得し、当たり前のように使っていると感じています。また、相手の言っている言葉の意味は、自分の知っている言葉の意味と同じだと信じがちです。しかし、そう言い切れるのでしょうか?

教室の中で、「先生の机」と言われて間違う子どもはいません。
しかし、「赤い画用紙」と言われたときには、悩むかもしれないのです。
サイズや色の種類が多様な場合には、上手く伝わらないでしょう。

そして、もっと抽象的な表現になると、通じるのはさらに難しくなります。
「優しい言葉かけをしましょう」という「優しい言葉」の多様性は、挙げ切れるものではないからです。

このように、言葉を使って話す際には、相手との共通語であることが前提となります。
では、どうしたら、子どもたちと共通の言葉でやり取りができるようになるのでしょう。

もう10数年も前に、私は不登校になった子どもたちのクラスを担任しました。
そのころ、彼らと話すときに、ちょっとした違和感があったのです。

彼らは長く家にいたので、ネットや書籍などから多くの言葉を獲得していました。
ところが、それらの言葉は実体験を伴っておらず、上っ面を滑っていくような感覚が残っていたのです。
共通の言葉で話しているのに、彼らとは話が通じにくいことが違和感となったのだろうと思います。

逆に、実体験から言葉を獲得させた例をご紹介しましょう。
例えば凸凹した表面と平な表面の違いを子どもに理解させようとするときに、皆さんはどのように説明しますか。
凸凹した物を触らせたり、すべすべした表面の物を撫でさせたりするでしょうか。

私は先日、5歳の子どもと山道を歩いているときに、凸凹を体験させることができました。
普段は平らな道を歩くばかりなので、幼い子どもたちも足元を気にせずに歩くことができます。
でも、山道には凸凹があって足を運ぶ場所を見極めなければならないので、無意識に歩いていると転んでしまいます。

5歳児は短い時間の山歩きでも、かなり疲れたような様子を見せていました。
ただ、その子の中には、凸凹という言葉が実態をもって記憶されたのではないかと思います。
そして、その子が次に凸凹に出会ったときには、凸凹の意味を広めたり深めたりすることができるのです。

子どもたちが言葉の意味が分からないと言ったときには噛み砕いてやる、絵本や物語などから言葉を獲得させるなど、子どもと関わる大人は子どもたちの言葉を増やそうと努力しています。
そうして共通に使える言葉が増えていきます。

ただその際、できるだけ体験を伴った生きた言葉を獲得できるように工夫してみてください。
言葉に命を吹き込み、子どもと一緒に生き続けることのできる言葉を増やしていってほしいと思います。
それが人と会話するときの、共通語になりうるからです。

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