ブログ
202110/03
多面的・多角的・俯瞰的に見ることができるように

私たち教師は、教科書に沿って授業を行うことになっているので、法的には間違ったことを教えることはないはずです。
しかし、教科書を外れたところで教えることはあります。

例えば、総合的な学習の時間には、そもそも教科書はありません。

そのようなとき、教師にはモラルが求められます。
教師の道徳的価値観がどのように育成されているか、倫理観や価値観がどのようなものであるかということを、常に周囲からチェックされているということに緊張感をもっていてほしいと思います。

以前からお話ししているように、子どもは教師を社会と自分の仲介者だと認識し、権威のある存在として関わってきます。
子どもの人生に深く関わる存在であるならば、教師自身の正しいあり方が求められているという自覚をもってほしいのです。

また、子どもたちが情報を受け取る際に、多面的・多角的で、俯瞰的な見方ができるような情報の出し方に配慮すべきです。
教師が「これがいい」と決めつけて、一部だけの情報を出すようなことがあれば、それは子どもの芽を摘むことになりかねません。

高学年の算数で、どちらがお買い得かという問題に取り組んだことがありました。
そのときに、各国の物価水準の違いに注目させたことがあったのです。
すると、ある子どもが「自分の親はその国の人はダメだと言っているから、問題を解くまでもなく、その国はお買い得ということはないと思う」といった発言をしました。

私はどのように返事したらいいものかと、一瞬悩みました。

そして、次のようにアドバイスしました。
「あなたの親御さんがそのように言っていることは、もしかしたらそうかもしれませんね。でも、今は算数の問題を解くのであって、その国に関する個人的な感情は横に置いておきましょう。それから、本当にその国の人がダメなのかどうかは、自分でも調べてみるといいですね」

実は、学校ではこういった価値観の違いが明るみに出ることもあるのです。

その際に、保護者の考えを肯定しても否定しても、あとでその子どもの心に傷を残すことになりかねません。

子ども自身に、多様な見方を身に付けさせるように仕向けていくことが必要だと思います。

PAGE TOP