ブログ
202109/30
情報を受け取るということ

前回、子どもたちに情報を受け取ってもらうために、教師がどのような心構えでいることが必要なのかについてお話ししました。
今回は、付け加えとして、そもそも情報を受け取るとはどういうことなのかについて、考えてみたいと思います。

皆さんは、BGMが流れるカフェであっても、友達と話しているときには相手の声を聞き取り、内容を理解することができます。
同様に、ビルの立ち並ぶ繁華街の中にあっても、目指す看板を見つけることができます。

自分が聴こえるもの見えるものに対して、能動的に関わろうとすれば、必要な情報を得ることができる例です。
このような様子を、シュタイナーは極端なイメージを用いて、「目や耳から触手が伸びていって情報を掴み取る」と表現しています。

ですから、ぼんやりとした意識の中で授業を受けているとすれば、雑多な音の中から教師の声を聞き取ることができないのです。
また、教師が注目してほしいことに、子どもが目を向けていなければ、情報は不十分なものとなってしまうでしょう。

教師も子どもも同じ対象に注目することを、心理学の言葉でジョイントアテンション(共同注視)といいます。

あるとき、5年生の子どもたちと自動車工場に見学に行きました。
多くの子どもたちは、説明される内容に沿って、目を動かしています。
何を説明されているのか、どこに注目すればいいのかを身につけているからです。

しかし、一人の子どもは注目する場所が分からずに、困った表情を見せていました。
私は側について指し示しながら、補足の説明を加えました。
そういった支援の必要な子どももいるのです。

もうひとつの例です。
注意が散漫な子どもたちが集まるクラスで算数を教えたときのことです。

大きな声を出そうが、パフォーマンスで気を引こうが、なかなか黒板に注目してくれませんでした。
計算の仕方を覚えてほしいと思っているのに、注目してくれないのでは伝わりません。
そんなときには、普段よりもかなり大きい文字を書いて説明したことを思い出します。
黒板に余計な情報を書かずに、誰もがよく見える真ん中に大きく書くということは、注目してもらうための有効な手段です。

前にお話ししたように、動機付けをしっかりと行い、子どもたちが能動的に学ぼうとする姿勢を作ることが大前提になりますが、特性のある子どもたちにはさらなる支援をしていく必要もあります。

授業の中で、子どもが集中力を切らすことなく学習しているのか、彼らの頭の中にどのような絵が浮かんでいるのかを掴みながら、変幻自在に授業をする力を身につけていってほしいと思います。

PAGE TOP